Camera&LensReview

Sorry Japanese only so far. Camera and lens review from photographer's viewpoint.

Lieca M10 二ヶ月使ってみてのショートレビュー

はじめに

ライカM10を導入して早二ヶ月。前回のレビューでは気づかなかったこととか少しづつ分かってきたのでいくつかブログに書き出してみます。

 

フィルムっぽい描写

なんかこのカメラ、ハイキーといいますか、パステル調といいますか、淡いネガフィルムっぽい感じの絵が綺麗に撮れます。M9だとこってりしたコダクロームみたいな感じになりがちだったのですが、M10だとハイライトが粘るからなのか、なかなかいい雰囲気に仕上がります。最近の自分の好みのトーン。

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Leica M10, Summilux 35mm ASPH FLE

 

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Leica M10, Summicron 50mm

 

薄さ最強伝説

カメラの小ささって、レンズを付けた時の縦横高さのうち最薄の寸法がどれだけ小さいかで決まると思う。結局その大きさがそのカメラを収納するのに必要なスキマになるんで。例えばフルサイズ機最小のはずのソニーのRX1の最薄部は正面から見た時の高さに当たる65.4mm。ところがRX1を実際に使ったことがある人は分かると思うけど、単体ではホールディング最悪で、まともに使おうとしたらグリップやらサムレストやら追加が必須。そうするとかんたんに+1cmくらいになるので、

・RX1の実質的な最薄部は75mmくらい

になる。ちなみに

・M10 + Elmarit 28mm ASPHの最薄部は実測74mm (レンズキャップ込み)

あれ、もしかしてフルサイズ機最薄?

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 手元にないけどMレンズ最薄のSummaron 28mmの薄さは18mm. Elmaritとの差を計算すると、

・M10 + Summaron 28mmは計算上62mm

こいつは間違いなくフルサイズ機最薄。裸のRX1の最薄部より薄い。ちゃんとLeica純正の組み合わせでこれですよ。f5.6だけど。

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 Leica M10, Summilux 35mm ASPH FLE

 

なじむ道具

カメラ好きは新しいカメラを手に入れるとひたすらカメラに気持ちを持っていかれ、それこそ休日は朝から晩までいじりまわしていたくなるのが常。ところがM10は、ものすごく僕好みのカメラなのに、何故かそういう欲があまり起きなかった。どちらかというとカメラいじりまわすよりひたすら外に出て写真が撮りたくなるカメラだ。

これはおそらくM10がMらしいMだからだろう。M3やM9をずっと使ってた僕にとっては、いつものカメラのセンサーだけ新しく入れ替えたものに思えてしまう。5年近く登場を待ってようやく登場した新機種なのに、ずっと使ってきたカメラだと感じてしまうこの不思議。

いい道具は体の一部になるから意識から消える。そして創作活動にのみ集中できる。M10はそういうカメラですね。

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 Leica M10, Summicron 50mm

 

まとめ

M10を完全に駆使しての撮影モードの旅は実はまだ。僕のカメラ観は撮影モードの旅に出て最終的に確立するので、またご報告できればと思います。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

 

 

 

 

 

 

Summilux 35mm f1.4 ASPH レビュー

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ズミルックス 35mm f1.4 ASPH reviewブログ

 

プロローグ

僕は長い間、35mmという焦点距離を不得意としてきていた。自分にとっての標準は完全に50mmであり、それと組み合わせる広角は28mmが心地よく、35mmでは近すぎるためだ。そもそも35mmは銀塩時代はコンパクトカメラのレンズの代表格で、なんとも中途半端なイメージが僕にはこびりついていた。

50mmと28mmの組み合わせで撮影をする時は、50mmが中心で、8割以上を50mmで撮っていた。ところが海外の街をふらつきながら写真を撮ることが増えるにつれ、28mmの割合がどんどん増えていった。前にレビューしたElmarit 28mm ASPHがとてもコンパクトで使いやすいこともあいまって、滞在ホテルから他の街に足を伸ばすときには28mm一本でということも増えてきた。そう、明らかに自分の視線が広角よりに変化したのだ。加えて、こちらもすでにレビューしたNokton classic 35mmの描写に魅了され、使いまくっているうちに、35mmへの苦手意識も薄らいできた。

そうして、長い間自分の中で迷っていた、標準Summiluxは35mmと50mmどちらにすべきかという問に結論を出すことができた。

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Leica M9, Summilux 35mm f1.4 FLE

 

ちなみにFLEはフローティングエレメントを指し、このレビューで取り上げる11663を前世代のSummilux 35mm ASPHと区別するためにつけています。

 

圧倒的なコンパクトさと丁寧な作り

焦点距離35mmの大口径レンズは各社から販売されている。しかしみんな大きくて重い。

Canon EF 35mm f1.4L II

  • 長さ 105.5mm
  • 重さ 760g

Nikon Nikkor 35mm f1.4G

  • 長さ 89.5mm
  • 重さ 600g

完全に500mlのペットボトルよりも重い。ところがSummiluxは、

Leica Summilux 35mm ASPH FLE

  • 長さ 46mm
  • 重さ 320g

ということで、長さも重さも半分。AFモーターが組み込まれていることを考えても、圧倒的なコンパクトさだ。これは、ミラーボックスの無いLeica Mシステムでは50mmレンズと同様な明るくてコンパクトな35mmレンズを作りやすいという技術的背景に加え、ライカ社自体の、Mシステムはなるべくコンパクトにしたいという思想の表れだ。

作りも丁寧。今となっては貴重な現行マニュアルフォーカスレンズ。フォーカスリングのしっとりとした回し心地は最高。レンズの被写界深度表示は、AFレンズにも申し訳程度に付いてはいるが全く使い物にならない。マニュアルフォーカスのSummiluxはしっかり一絞り単位の被写界深度の目盛りが真っ白な塗料でくっきり描かれている。見やすい!もちろん、長年使ってもハゲにくいように金属面に彫りを入れてそこに塗料を流し込んでいる。

このあたりからモノとしての愛着が一気に増してきますね。

フードは金属製。傷がついても味になる。もちろん、内側は無反射塗装。おまけにファインダーの視野を妨げないようにくり抜きがあるという凝りよう。

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Leica M9, Summilux 35mm f1.4 FLE

 

圧巻の描写性能

さて、写り。もう、圧倒的にSummilux ASPHの35mmの写りです。全く説明になってませんね。言葉で言えば、ピントあったところはウルトラシャープで、ピント外れたところは透明にとろける。結果として対象物が浮き上がる3D描写。

実際に見てみましょう。比較のため、対照的な写りをするNokton classicと並べて見てみましょう。

 

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Leica M9, Nokton classic 35mm f.14 MC, at f1.4

 

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Leica M9, Summilux 35mm f1.4 FLE, at f1.4

 

二枚ともf1.4にて撮影。このサイズだと違いがやや分かりにくいです。なので、拡大してみましょう。

 

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Nokton classic 35mm f.14 MC, at f1.4

 

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Summilux 35mm f1.4 FLE, at f1.4

 

はい、完全に別物ですね。Noktonは手ブレでもピンぼけでもありません。開放ではこういう写りになります。まるで霧がかかったような幻想的な写り。一方でSummiluxは切れそうなほどリアルでシャープ。Noktonは遠い記憶の中のシーンのようなセンチメンタルな雰囲気の絵になるが、一方でSummiluxはもっとなまめかしく濃厚な描写になる。

これは一種の表現方法の違いであり、一概にどちらが価値が高いとか低いとかという話ではない。だけど実際にはこのレンズ、実売価格で10倍以上の差がある。これは、Summiluxが少数生産のドイツ製であることを差し引いても、カメラ用レンズというものが基本的にコストベースの価格付けであるからで、35mm f1.4で合焦面でここまでのシャープさを出そうとすると、レトロな写りのレンズの何倍ものコストがどうしてもかかってしまうのだろう。

次はBokehの部分で比較。

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Nokton classic 35mm f.14 MC, at f1.4

 

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Summilux 35mm f1.4 FLE, at f1.4

 

Noktonは、少しかすれるような、やや落ち着いたぼけ。一方でSummiluxは油に絵の具が溶けてゆくような、とろりとしてなまめかしいぼけ。背景によっては少し二線ボケになる可能性はあるが、絵としてはSummiluxの方が華やか。

このぼけの違いも画面全体を通してNoktonは感傷的に、Summiliuxは官能的に写る要因だ。

 

35mm一本くんの旅

Summilux 35mm ASPH FLEを手に入れたら、まさか予期していなかったが、海外旅行に35mm一本で旅立つようになった。何と言っても夜に強い!広角でf1.4ですから。

重さもSummicron 50mmとは100gも違わない。総重量はElmarit28+Summicron50の二本持ちよりも軽い。壮大なヨーロッパの建築物が画面に入り切らないこともあるが、そんなときは縦位置を使ったりしながら構図を工夫。なんとか絵にする勉強になります。

そして楽しいのは絞りのコントロール。開けると官能的に背景がボケ、閉じると広角らしくパンフォーカス。35mmは広角レンズではありますが、絞りで表情ががらりと変わります。まるでレンズ交換しているみたい。M10でライブビューで試すと、この表情の変化がよくわかって面白い。絞りリングが完全にBokeh調整リングになります。

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Leica M10, Summilux 35mm f1.4 FLE, at f1.4

 

ご覧のように、開放ではやや周辺光量落ちがあり、それが逆に中心部のスポットライト効果になります。

いやー、面白いなー。50mmをメインに撮っていた時は、いつも50mmの絵だった。ところがSummilux 35mmだと、50mmレンズっぽくも、28mm以上の広角っぽくも撮れる。この表情の豊かさこそが、僕がSummilux35を好きな理由だ。

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Leica M10, Summilux 35mm f1.4 FLE

 

まとめ

以前仲間たちと海外に行った時、50mm一本でみんなの写真を撮りまくった。おかげさまで最高な表情がたくさん撮れたんだけど、飲み会だけうまく撮れなかった。なにせ自分も一緒に楽しく飲んでるんで、みんなが近すぎて50mmだと辛い。50mmは観察者としての標準レンズだ、でも35mmは、自分も場の仲間として溶け込むことのできる標準レンズだ。例えばそういうことを、このレンズは僕に教えてくれた。他にもいろいろなことをこのレンズは僕に教えてくれる。あらためてこのレンズと向き合うと、このレンズの持つポテンシャルの大きさと魅力の深さに感銘を受ける。それと同時に全くもってこのレンズのスケールに自分がついて行けていないことも思い知る。このレンズとじっくり付き合いながら、隠れた魅力を少しずつ引き出して行きたいと思います。

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Leica M9, Summilux 35mm f1.4 FLE, at f1.4

 

Nokton classic 35mm f1.4 レビュー

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ノクトン クラシック 35mm f1.4 MC reviewブログ

 

プロローグ

Leica持ってまず考えたのは、常用レンズ何にしようかということ。普段つけっぱなし、かばんに放り込みっぱなしで、いざという時に取り出して使うレンズ。Noctilux常用なんて強者もいるけど、僕はやはり小型レンズがいい。M3の場合必然的にSummicron 50mmになるんだけど、M9だと広角側の選択肢が広い。結論として小さくて明るいNokton classic 35mm f1.4 MC を購入。ところが旅先でSummicron 50mmやSummilux 21mmと開放時の描写があまりに違い、また、6bitコードが無いためレンズ交換のたびに手動レンズ設定するのが面倒になり使わなくなってしまった。それからしばらく経って、Nokton classic 35mmで撮った写真をプリントアウトしたら、あまりの雰囲気の良さにうなってしまった。Nokton classic 35mmが常用に復帰した瞬間だった。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

センチメンタルな描写

Summilux 21mmやSummicron 50mmの合焦点でのピントの切れ味にはまってしまった僕は、開放で、絞って、とにかくこの2本で写真を撮りまくった。写真はどれもコントラスト高くビシッとした爽快感のある仕上がりだったんだけど、そんな写真ばかりに見慣れてしまっていたある時、Nokton classic 35mmで撮った夕暮れの街をプリントアウトした。出てきた写真は、夏の終わりの夕暮れ時に感じる喪失感が画面から匂い立っていて、軽く胸が締め付けられる感じがした。同じような写真をSummiluxで撮ると、もうちょっとエロく写るというか、なまめかしい感じがするんだけど、Nokton classicで撮ると、遠い記憶の中の情景を見ているような、そんなセンチメンタルな感じに写る。こういう写りの味みたいなものはとても感覚的だし、個人的なものであるんだけど、クリエイティブな道具を選ぶ時にはやはり重視してしまう。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

世の中では滲みレンズとして球面Summilux 35mmが人気だ。Cosina製のこのレンズは球面Summiluxへのオマージュであるらしい。僕は持っていないので正確な比較は出来てないが、ネット上作例や情報を見ると、このレンズより球面Summiluxの方が滲みやフレアの出方は激しいようだ。それを新技術で味を残しつつ暴れ要素をコントロール。おまけに球面Summiluxは中古でしか手に入らず、個体差も激しい。それを新品の品質でどうぞというコンセプト。

ちなみに僕の場合、Noktonの幽かな、ごく幽かな球面収差が胸にささるので、多分球面Summiluxには行かないと思う。多分、多分…。

Nokton classic 35mmにはマルチコーティングのMCと単層コーティングのSCがある。僕のはMCの方だ。こちらの方が色やフレアなどのクラシカルテイストは薄いようだけど、目的は普段使いなんで、使いやすいMCを選んだ。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

驚きの描写変化

このレンズ、絞ると意外と普通にシャープになります。その変化が劇的。こちらは開放で撮った全景ですが、

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

真ん中あたりのピンが来ているところをf1.4とf8で100%で切り抜くと、

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100% crop at f1.4

 

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100% crop at f8

 

ごらんの通り、全く別物の描写。f1.4の方は決して手ぶれしているわけではありません。こういう写りなんです。でもこれ、あくまで等倍で見たときの様子。プリントするときこれはもっと縮小されて印刷されるんで、一件普通にシャープ。でもごくごく幽か球面収差が残っていて、それが感傷的な描写になるのです。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

外観と操作性

このレンズ、35mm f1.4というスペックにもかかわらず、全長28.5mmで重量200gときわめてコンパクト。現行ライカ最小レンズのElmarit 28mmより全長はやや短いくらいで、常用にまったく支障なし。デザインは球面Summiluxへのオマージュと申しましょうか、絞りリングの形状まで一緒。若干気に入らないのが、コシナフォクトレンダーによくあるんだけど、レンズ先端にフード取り付け用の金属かぎ爪が付いていること。しかも無塗装の銀色。普段の持ち歩きはフードなしなので、この銀色リングが目立っていまいち。せめて塗装して欲しかった。あと、レンズキャップに厚みがあるのも残念。折角薄いレンズなのに、レンズキャプの厚みで収納時寸法を5mm以上延ばしてしまいもったいない。別途薄いキャップを探してみます。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

 

万能です

このレンズは、夕暮れ時の街をそぞろ歩きしながらさっと情景を切り取るのに最高。でも、光が溢れまくる日中でも、きちんと絞ればびしっと描写してくれます。ほんと、どちらでもOK。描写の面から言っても、やはり万能ですね、このレンズは。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

 

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

 

まとめ

いやあ、プリントすればするほどこのレンズには惹かれますね。どうしてもライカブランドにこだわりがあるんなら、程度のいい球面Summiluxを探さないといけないんだけど、そういう手間無しで、しかも圧倒的低価格で、もっと現代的性能で品質保証もある新品を手に入れられるというのはとても幸せです。コシナさんありがとう。素直に感謝します。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

 

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

Leica M10 アダプター遊びレビュー Canon New FD 85mm f1.2L編

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ライカ M10 reviewブログ アダプター遊び Canon New FD 85mm f1.2L編

 

Introduction

さて、M10のメインレビューにも書いたとおり、実はM10の機能で一番のサプライズはライブビューでして、さっそく手元のお宝レンズを活用しようとマウントアダプター導入。まずはCanonのマニュアルフォーカス時代の至宝 New FD 85mm f1.2Lを装着し軽く撮り歩きました。いやあ、いい意味でサプライズがありました。

 

85mm f1.2L

僕のレンズ観を一変させたレンズは間違いなくEF 85mm f1.2Lだ。eosデジタルを利用していたころは本当にこのレンズに酔いしれた。

EF 85mm f1.2Lは合焦点はまるでSummilux ASPHのようにシャープだ。しかしボケはまるでNoctilux f1.0のように暴れる。この対象性が日常をドラマティックな風景に変換する。まさに自分にとってはマジカルなレンズであり、思い入れも強い。

そしてこのEF85mm f1.2Lの先祖にあたるのがNew FD 85mm f1.2Lだ。以前、たまたま美品が販売されているのを発見し、これは崩壊するFDマウント市場から救い出さなくてはと即購入。しかし、やはり案の定、フィルム撮影から離れてしまい置物化。遅ればせながら初のフルサイズミラーレス機のM10で早速デジタルデビューさせてみた。

 

驚きのやわらか描写

あのEF 85/1.2Lの祖先であり、切削非球面レンズ(なんという甘美な響き)を組み込んだ伝説のNew FD 85mm f1.2Lだ。デジタルではどんな表情をみせてくれるかと楽しみにしていたのだが、いきなり予想をくつがえされた。

とりあえず、適当に撮った一枚。

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

あれ、柔らかい。

でもって真ん中あたりの合焦点を100%クロップ。

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そう、開放では軽くフワッと甘めの描写なのだ。以前フィルムで撮ったときにはここまでの柔らかさは感じなかったんだけど、デジタルだとよく分かる。やはりこのレンズはオールドレンズのたぐいだ。ただし、どちらかというと自分の好きなタイプの描写。そう、これ、Noctilux f1.0的な描写なのだ。

きっと絞ったらいきなり解像度が上がるんだろうなと思いつつ、ひたすら開放で撮る。ベース感度ISO100のM10だからなんとか日中でもイケる、が、ちょっとハイキー気味。でもそれがこのレンズの雰囲気と見事にマッチし、EFとは別のタッチで日常がドラマ化される。

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

ハンドリングも悪くない

レンズは単体で680g。アダプター付けて700g台。たぶんNoctilux f0.95とおなじくらいの重さだ。あちこちのレビューサイトにあるように、Noctilux f0.95はMのボディーと重量バランスが取れていて意外と悪くない。このレンズもまさに同じ感じ。ただし、やはり絶対重量はあるので、細めのいつものレザーストラップで直接首にかけるとちょっと食い込む。長時間はきついかな。今回は厚着だったので肩がけにしたら気にならなかった。

まちをふらつきながら、目に入ったものをひたすら開放で写してゆく。久々の85mmなので視点が新鮮。楽しい。

 

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

スペックは正直

大口径中望遠ということなら、他にもCONTAX Plannar 85mm f1.4とSummilux 75mm f1.4を持っている。これらはまた別途レビューするつもりだけど、やはりf1.2というほんのちょっと明るいスペックだと見える世界が全く違いますね。被写界深度浅すぎ。拡大表示のできるライブビューがあって初めて積極利用したくなりますね。

 

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

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Leica M10, New FD 85mm f1.2L, at f1.2

 

まとめ

実はそろそろP.Angeniuxあたりに手を出そうかとも思ってたんですが、手元のこのレンズでも十分面白い描写をしますね。いやー、驚き。フィルムではここまでの柔らかい感じだとは分かりませんでした。最後に何枚かフィルムの作例貼ります。こう見ると確かに柔らかさがありますね。この柔らかさはフィルムのせいかと思ってましたが、レンズのキャラだったんですね。面白い発見でした。M10アダプター遊び、やばいですね。

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Canon New F-1, New FD 85mm f1.2L, at f1.2, RVP100

 

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Canon New F-1, New FD 85mm f1.2L, at f1.2, RVP100

 

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Canon New F-1, New FD 85mm f1.2L, at f1.2, RDP3

Leica M10 レビュー

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ライカ M10 reviewブログ

 

プロローグ

M3,M9と続けて購入しマニアックなM用レンズにも次々手を出した僕だが、過去記事の通り、長い間レビューから遠ざかっていた。その間ひたすらRX100シリーズを使い倒していた。M240をスキップしたからだ。

M240にはとても期待していた。しかし実物を触ったときのコレジャナイ感が凄まじかった。厚くて重いので手にしっくりこない。レスポンスも遅い。色味もあっさり。どうしたものかと悩んでいるうちに値段も上がり、完全に購入タイミングを逃してしまった。RX100シリーズがあまりに手軽な上、日中の画質はA3くらいまでのプリントには十分。満足した僕は一時はMレンズは大幅整理してしまおうかと考えた時期もあった。しかし昨年、M9で撮った写真を見返していて、1inchセンサーで自分の目が堕落してしまったことを自覚。再度フルサイズの常用を検討。

そして遅ればせながらLeica Q(別途レビュー書きます)を導入した。

このカメラは、僕にとって久々の革命だった。改めてLeica社(及び裏で手伝ったと噂のパナソニック社)に敬意を払うとともに、Mレンズのキープを確定。新型ボディーとしてType262を本格検討始めていた矢先、ついにM10の噂が流れてきた。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

待ちに待ってた正常進化

僕は今でもM9が好きだし、現役カメラとして時々使っている。なにせフィルムのM3からライカに入ってるんでM9でも基本的には文句無し。しかしだ、M9はやはり古い。M240後継機には、具体的には以下の点を大いに期待していた。

 

1. 高感度性能

ISO1600までならフルサイズのM9の方が強い。しかし、M9は3200以上には設定すらできない。RX100は塗り絵画質だが6400までは撮れる。

 

2. ライブビュー

撮影アングルの自由度が増すので、もはや不可欠。

 

3. 液晶の質

M9の液晶は完全に時代遅れの代物。

 

4. 大きなシャッター音

Mシリーズのコンセプトに反する、M9のパコッと派手なシャッター音はなんとかしてほしい。

 

5. 軽量化/スリム化

上記1から4は一応M240で実現されていた、が、結局重くて厚くて、僕はM240をスキップしてしまった。

 

6. wifiスマフォ接続

これで自分の旅先での自由度が飛躍的に高まった。ノートPCなしでも現像処理してSNSでシェア可能は後戻り不可の革命。

 

M10はこのリストをすべて実現してくれた。若干不満に残る部分もあるが、間違いなく僕の望む方向に進化してくれた。そう、待ちに待っていた正常進化だ。

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Leica M10, Apoqualia-g 28mm f2.0

 

高感度性能について

これについては今更僕が実験せずとも、あちこちで結果が出ているのでそちらを参照されたい。だいたい、M240比較で2段、SL比較で0.5段の改善ということらしい 。

http://www.slack.co.uk/leica-m10.html

実際、暗いところでも普通に映る。普通の現代のフルサイズデジカメだ。普通なんだけど、Leicaで普通というのは素晴らしい。過去のM9のレビューにも書いたように、電子的な性能が普通以下でも使いたい理由がたくさんある。それが普通になった瞬間に、Leicaは奇跡のカメラになる。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

ライブビュー

実は今回M10で一番感動したのがこれだ。なにせM240スキップしてるんで、M型でのライブビューは初めて。あのNoctilux f1.0のピントの山がちゃんとつかめる!それだけで素晴らしい。で、みなさん、気になるのはレスポンスでしょう。
以下、ファーム1.3.4.0にて。

  • メインスイッチONの状態からLVボタン押してLV画面が表示されるのは瞬時
  • LV画像のカクカクは全くなし
  • シャッター切ってブラックアウトする時間もゆっくり瞬きするくらい。Sモードで続けてシャッター切って、体感で2コマ/secくらいの連射が可能。
  • LVモードのままメインスイッチOFFにして、またメインスイッチONにしてディスプレイ表示が復帰するまでの時間がやや遅い。ストップウォッチで複数回計測しましたが、ざっくり1.5秒弱。

ちなみにRX100M3でスイッチオンしてからディスプレイ表示復帰までの時間がだいたい1.2秒くらい。RX100はレンズが伸びるという儀式も行った上でのこの時間。わずかですがM10が遅いですね。ファームアップでもう少し高速になることを期待。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

液晶の質

はい、M9との比較なんで、天国です。ちなみにQも天国でした。QとM10と比べると、どうでしょう、同じくらいの天国感?すいません、なにせM9から這い上がってきたんで、全部良く見えます。

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 Leica M10, Summilux 35mm ASPH FLE

 

シャッター音

M240触って唯一感動したのがシャッター音。とても静かでした。M10のシャッター音はそれと比べるとシャキシャキしててやや高音が響きます。しかし、M9から比べるとようやくライカらしいおとなしい音になりました。手元にあるカメラで1/60secでの音の大きさを体感比較すると、

M9 >> D810 = M3 > M10 >> Q

という感じ。M3よりM10の方が音が小さいというのは意外でした。M3は静かなのですが少し音が響きます。一方で、M10はややこもった感じ。Qはレンズシャッターなので別次元。ちなみにD810は一眼レフなので絶対音が大きいはずですが、非常にソフトに消音されていています。D810とM3はボリューム的には同じくらいなのですが、M3の方がやや高音なので若干目立つかも。ああ、M3の静音シャッター神話が!

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Leica M10, Summicron 50mm

 

軽量化/スリム化

M3がとても手になじんでいたので、デジタルライカのスリム化は本当に嬉しい。今回は珍しく発表初日に実機も見ずに予約を入れたわけですが、このスリム化は背中を押す効果が高かった!で、その後実際に手にとって見ると、、、うん、確かにM9より薄い、M240は論外、、、だけど、M3ほどのすっきり感は無いなあ。

実際測ってみたらM3のトップカバーの厚みは約31mm強、M10は約33mmとその差2ミリ弱。だいたい6%くらいの差ですね。ちなみにM9は36mm。M10はM3とM9の真ん中よりちょいM3に近いくらいの薄さ。いやあ、よくやりました。だって構造的に難しいだろうって諦めてたんだもん。スリム化の現実的な方法はマウントを出っ張らせることだけど、Leicaは意匠的にそれはしないだろうと思ってた、だけど、今回、ほとんど気づかないくらいマウントを前に出した。大きなデザイン変更ないのに違和感がない絶妙なレベルでの前出し。M10のデザインって、ものすごい緻密バランスの元に成り立っていると思います。

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背中合わせの初号機(M3)と最新機(M10)

 

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お背中の雰囲気もよく似てる

 

重さ。重いです。M240よりはちょっと軽いですが、やはり重いです。ただ、なんというか、意外と違和感が無い。M240持ったときはデブったボディーとあいまって、ある種嫌悪感を感じる重さでした。この違いはなんだろうと考えてたんだけど、実はM10はM3持ったときの体感に近いんです。M3は重いカメラです。薄いんで軽そうにみえるんだけど、手に取るとずっしりくる。でも、手のひらへの収まりいいんで、長時間持ってもさほど疲れない。M10もそんな感じ。デジタルライカとしては薄いんだけど実は重くって、でも薄くて持ちやすいので疲れない。心地いい重さ。ちなみに重さも比較を書いておくと、

M240(680g) > M10(660g) >> M3(595g) > M9(585g)

デジタルはみんなバッテリー込。おかしいなあ、M10 >> M3なのに体感似てるんだよなあ。やっぱ薄さは見た目にもホールディングにも効いてるんですかね。

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Leica M10, Apoqualia-g 28mm f2.0

 

wifiスマフォ接続

もうこれないと旅先に連れてゆきたくなくなるほど、今や僕にとって必須の機能。スマフォ画面はデジカメの液晶の倍以上の大きさで画質も最高だし、カフェでちょいひと休みしつつの作品チェック、SNSへのシェアは楽しみの一つ。ようやくMでこれができるようになりました。できるだけで天国。

ただし、もちろんお約束どおり、初期段階の現時点ではアプリもカメラ側も使いにくい。しかもAndroid版出てないし。改善&リリース早くやっていただけると幸いです。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

でもって全体的にどうなのよ

細かく機能ごとにインプレ述べてきましたが、じゃあ、全体的にどう感じるのか。はい、普通にMです。いつものMです。それが暗いところでも現代のデジカメのように使える。あと、Noctiで厳密なピント合わせができる。そういうちょい特殊な状況で対応できるようになったのが進化なのですが、それ以外のほとんどを占める普通のシーンでの普通の撮影ではM3やM9と一緒です。

これはすごいことです。

要は、技術の進化を超えて伝えられる普遍的なユーザー体験がMシステムでは確立してるんです。それが何なのかは過去に書いたM3のレビューで表現したつもりです。
M10は間違いなくこれからのMの歴史を引き受ける、正統派の名機です。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

ISOダイアル

そうそう、ISOダイアルについて書いておきましょう。デジタル移行してから、ずっと僕にとっての夢は、ISOダイアル、シャッターダイアル、絞りリングの3つを備えたカメラが登場することだった。で、初めてのそのカメラはNikonから出た。Dfだ。これが全く使い物にならい。だっていちいちロック解除しないとダイアル回せないんだもん。で、ようやく自由に回せるISOダイアルを持って登場したのがM10だ。回して使うときは上に引っ張り上げておかないといけなくて、その引き上げがやりにくい。が、上げとけばそのまま好きに回せる。さすがLeicaさん、写真撮影のUXを理解していらっしゃる。ところがですよ、このISOダイアルほとんど使ってない。だって高感度性能が優秀すぎるんだもん。M9のときは勝手にISO上げられるのが嫌すぎてISOは常にマニュアル設定。ええ、フィルムと同じ感じです。で、フィルム交換くらいのインターバルで、ISO見直す。だから、すごく期待してたんですけどねぇ。M10は多少ISO上がっても画質破綻しませんからねえ。このダイアルについてはまだ使いこなせてないと思うんで、もうすこし試してみます。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

その他気になったことをまとめておきます

  • 純正ストラップが革製に!しかも僕の好きな長さ調節なしの一枚タイプ。こいつは素晴らしいです。ただしちょっと長い。
  • 光学ファインダーでISOが確認できない。ISO-autoでこれはちょっと困る。
  • バッテリー持ちは思ったより全然いい。ライブビューをたまに使った撮影しても、M9より持つかも。ただ、wifi使うと劇的に電池食う。できればファームアップデートでチューニングしてほしい。
  • ファインダー倍率/視野は数値上変わってるが体感の差はあまりない
  • 親指ひっかける出っ張りがM240より出っ張って引っ掛けやすくなった。ホールディングしっくり来るのに効いている。さらにサムレスト追加は不要では?
  • 前面の右手がかかるあたりにあるボタンは、いろいろ機能割当できるようにしてほしい。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

まとめ

とりあえず正常進化で一安心。もう少し使い込んで報告したいと思います。

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Leica M10, Summicron 50mm

 

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Leica M10, Summicron 50mm

 

 

 

Summilux 21mm f1.4 ASPH レビュー

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ズミルックス 21mm reviewブログ

 

プロローグ

このレンズはSummicron 50mmの次に購入した二本目のライカレンズだ。50mmのしかもSummicronの次にいきなり21mmのSummiluxだなんて、明らかに当時の僕は倒錯していた。しかし、当時はまだM9に手を出す前で、どうしても明るい広角が必要だった。しかも価格は今の2/3ほど。世界初の21mm f1.4をどうしても試してみたくて、デジタルライカを後回しにして清水の舞台から沼めがけてダイブしたのだった。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

さっそく写りを

このレンズは、世界初の21mm f1.4のレンズというよりも、21mmのSummilux ASPHだと捉えたほうが分かりやすい。明るくカラフルでメリハリがあって官能的にBokehる、あの35mmや50mmのSummilux ASPHがそのまま21mmの画角になった写りをする。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

ごらんの通り、Summilux ASPHを使っている方が見れば納得すると思います。

・カラフルで濃厚な発色

・ピントが来ているところが極めてシャープ

・そこからトロリと油に溶けるようななめらかなボケ

言葉にするとこんな感じでしょうか。

 

This is Super Fast and Super Wide

しかし、やはり35mmや50mmの標準系と比べると超広角のSummiluxには特徴があります。それがこれ。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

これ、この小さなサイズで見ると、全面にピントの合ったパンフォーカスの写真に見えます。ところが真ん中の部分を100% cropで拡大すると、

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100% crop

 

こんな具合に、フォーカス部はくっきり、背景の海は透明でなめらかに溶けているという、まさにSummiluxの描写。超広角で背景を広く取り込み、しかも大きく崩さずなめらかにボカし、ピントが合った主題のみをくっきりと浮かび上がらせる。これを大きくプリントすると、もうそのプリントはまさに現実。写した時そのまんまの景色が目の前に蘇ります。プリントに吸い込まれてもう一度同じ場面に立ち会っているような錯覚。

そう、こいつは完全に大判カメラで撮影した情景なのです。

これが超大口径超広角レンズの世界なのです。しかもそれが、4x5のカメラとは比べ物にならないくらいコンパクトなところが衝撃的なのです。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

ハンドリングしやすい

レンズ自体はスペックを考えると十分に小型で580gの重量はNoctilux0.95と比べると2割ほど軽い。M9と組み合わせても1165gで、普通のデジ一の常用重量とたいして変わらない。しかもM9との重量バランスが最高。変なトルクが手首にかからないので持ち歩いてもあまり疲れない。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

バックにつっこんだり、手からぶら下げたりしながら、世界中連れ回りました。それにしても、21mmの被写界深度は深い。f5.6にすると、1mちょっとから無限遠までパンフォーカス状態。ピント気にせず、時にはノーファインダーでぱちぱち撮れる。M9のファインダーは28mmまでだけど、枠いっぱい使って21mmちょいって感じ。邪魔に成る外付けファインダーは使わない。そう、こいつは絞った瞬間に一流のスナップシューターに早変わりするのだ。

画面の端に余計なモノが写り込んでも気にしない。あとでRAW現像するときにトリミングすればOK。歴代のスナップシューターの先生方と同じ考え方。ネガ(=RAWファイル)は中間生成物であり、最終作品はプリントなのです。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

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Leica M9, Summilux 21mm

 

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Leica M9, Summilux 21mm

 

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Leica M9, Summilux 21mm

 

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 Leica M9, Summilux 21mm

 

まとめ

確かにこのレンズは高価だ。しかも僕が手に入れた時から1.5倍くらいに値上がりしている。しかし、今、大判写真を撮ろうとしたら一体一枚につきいくらかかるのだろうか。大判カメラに機動性は無いが、こいつは片手でもって歩ける。しかも絞ればノーファインダーでも扱えるスナップシューターに早変わり。こんなレンズはSummilux 21mしか存在しない。

このレンズは特殊仕上げのレア物限定品ではない。他の量産ライカMレンズと同じく写真を撮る人のための完全なる実用品だ。それを伝えたくてこのレビューを書きました。

あ、最後に一つ。こんな具合に画面に太陽が入るとフレアーっぽくなります。が、うまく表現できると雰囲気出ます。基本的には優等生で、大きく破綻することはないです。

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Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4

 

Leica M9 長期使用レビュー

ライカ M9 長期使用reviewブログ

ライカM9を導入して2年半経過しました。Photokinaでついに新世代のLeica Mが発表され今更という感じもしますが、あえて今だからこそこの2年半を振り返り、長くたくさん使って感じたM9のインプレッションをまとめてみたいと思います。新しいMをどうするか自分で考える材料にもするためにも...。

 

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Leica M9, Summicron 50mm

 

この2年半、M9以外にもいろいろなカメラを使ったけど、結局振り返ってみると僕のメイン機材はずっとM9だった。X100やRX100などのひと回り小型なハイテク機を導入した時はM9の出番が減るかと思ったけど、結局はすぐに飽きてM9に戻ってしまう。理由はだいたい以下の通り。

1.素晴らしいレンズ達

2.画質の良さ

3.使い易さ

4.いじる楽しさ

5.がんばれる大きさ

6.Heritage

それぞれについて書いてみる。

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Leica M9, Noctilux f1.0

 

1.素晴らしいレンズ達

今はミラーレスを含め、レンズ交換を楽しめるカメラが乱立している楽しい時代だけど、間違いなくライカMシステムが最も個性に富んだシステムだろう。スタンダードなSummicronの35mm, 50mmでさえ伝説的な描写で中毒患者多数。上級のSummiluxは35mmも50mmもそれぞれ世界最高性能の誉れが高い。さらには圧倒的に濃厚で個性的なNoctilux。いわゆる標準レンズを取り上げただけでも語り出せば止まらない。実際に使って撮ってみると本当にどれもが個性的。決まったショットはそれこそ写真に吸い込まれてしまいそうな描写だ。一度撮影に出ると、ひとつは描写に見とれてしまうショットがある。これを経験してしまうとどんなに使いやすくて暗い所での性能が高くても、結局はMシステムに戻ってきてしまう。普通の良さじゃ物足りないのだ。そしてこのレンズの個性を活かすにはセンサーの解像度が重要だ。

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Leica M9, Summlux 21mm ASPH

 

2.画質の良さ

M9の解像度は35mmサイズでは世界最高クラスを維持してきた。D800Eという化け物が出てきててしまい、No1タイというポジションからは一歩後退だけど、それでも依然ローパスレスフルサイズセンサーの解像感はすばらしい。高感度性能はCMOSセンサーにはかなわないけど、それでも銀塩に比べたらずっといい。単焦点の明るいレンズを使って光をたっぷり拾うので、実際の撮影ではISO160のベース感度での撮影が多い。この、カメラにとって最高性能を発揮できる条件で他の高級コンデジと比べてしまうと、やはりM9は一歩抜きん出ている。いいショットを見るたびにがんばってM9持って来て良かったと思うのだ。そしていいショットを外さないためにも、大切なのは操作性だ。

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Leica M9, Summicron 50mm

 

3.使い易さ

いろいろデジカメ使ってみた結論だけど、結局自分にとっては絞りリング、シャッターダイアル、フォーカスリングの3つを回してカメラをコントロールするのが一番使い易い。結局数値入力は専用物理ダイアルにかなうものがない。フォーカシングについてはいろいろなやり方があるけど、普段広角を使うようになってから目測で被写界深度使ったフォーカスを多用するようになった。これが一番気楽で速射性にも優れている。AFが迷ってシャッターチャンス逃すこともない。何より、フォーカスポイント探してそこにフォーカスフレームを持ってきてシャッター半押しという儀式がいらない。これは思った以上に快適で、撮ろうと思った次の瞬間にはフレーミングとシャッターチャンスに集中できるのだ。最新のプロ用一眼レフはフォーカシングのプロセスをいかに縮めるかに技術の粋を集めている。でも、目測フォーカスでパンフォーカス使うと、フォーカシングプロセスがゼロになる。短縮ではなくゼロだ。もちろん、目測で対応できる条件は限られている。でも、日常の多くで対応できる。いつでもどこでも最適を目指す大型プロ用一眼レフもいいけど、自分の場合、結局快適度の平均値が最強なのはM型ライカのマニュアルフォーカスだった。そして、マニュアルフォーカスが不得意なX100やRX100にはどうしても使いにくさを感じてしまう。で、結局、いつもいじりまわして遊ぶのはM9だ。

 

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Leica M9, Noctilux f1.0

 

4.いじる楽しさ

M9は外装の機械的な工作精度が高い。電子制御全盛のこの時代、外装の工作精度など写りにはあまり関係なく、そこにコストをかけるのは合理性が無いのだけど、でも、おそらくマーケティング的な観点から未だに精度を落としていない。X100もRX100もよくできたカメラだけど、手間は中身にかけられていて、残念ながら外装のレベルはM9にかなわない。それは、実物を手に取ると如実に分かる。悲しいほど如実に分かる。そして、工作精度の低いX100やRX100には残念ながら物としての愛着が湧きにくい。仕事で海外に行った時、夜、寝る前にいじって遊ぶのはやはりライカだ。こどもじみているけど、でも、こういうオモチャで遊ぶ時間は、インスピレーション磨くのに大事なことだと信じている。なので多少大きくてもがんばってLeicaを持って行ってしまう。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC

 

5.がんばれる大きさ

実際、M9は十分小さい。X100を持っていける余裕があればまず間違いなくM9も収まる。確かにRX100よりは大きいけど、でも、バッグを持って旅に出る限りM9はパッキング可能だ。現行のLeica純正でのM9最小構成はM9 + Elmarit 28mmだ。全長3cmの小さなレンズを付けたM9は十分に小さい。実際は、ほとんどの場合、最高性能のレンズを複数本持っていける。これがLeica Mシステムの魔力だ。NikonCanonの場合、最高性能のレンズに最高性能のボディを組み合わせると重さ数キロの巨大な塊になる。最高性能のレンズを複数本持ってゆけば5キロ越えの世界だ。加えて充電器が巨大で、充電器だけでM9 + Elmarit 28mmと同じくらいの大きさだ。正直、撮影中心の旅でなければ不可能だ。Leica Mシステムは違う。Leicaレンズの中でも重量級のNoctilux f1.0、Summilux 21mm、Summilux 75mmを3本まとめても2キロ行かない。結果、いいレンズでの写真が増える。心に刺さるショットが蓄積されてゆく。

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Leica M9, Elmarit 28mm ASPH

 

6.Heritage

Heritageと言っても別にleicaブランドの伝統のことではない。僕はこの2年半で、これで機材コストの元は取れたと思えるような個人的な写真を何枚か撮ることができた。それは僕にとって永遠のショットとしていつまでも残るHeritageだ。そして、その永遠のショットはみなLeica Mシステムで撮ったものだ。だからLeica Mシステムは僕にとって特別なものだ。Mシステムとそれを創ってきた人々みんなに感謝したい。

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Leica M9, Summilux 35mm ASPH FLE

 

なんだか抽象的な話になってきたので、その他、細かいポイントで気に入っているところを書き出すと、

レンジファインダーは暗い所でもフォーカスし易い
・今や貴重な被写界深度表示が使い易い
・シャッターボタンと同軸のスイッチが使い易い
・背面のボタン配列がシンプルで醜くない
・充電器が小さい

という感じ。一方改善を期待したい点は、

・背面液晶が今やクオリティー悪すぎ
・高感度特性を改善して欲しい
・シャッター音はまあいいが、チャージ音が大き過ぎ
・できればライブビュー&動画使いたい
・バッテリーがもう少し持ってくれると安心

と、まあ、ことごとく新型のLeica Mで改善されているポイントばかり。非常に正しい進化ですね。この進化と100g増量のトレードオフをどう考えるかですね。あとM-Eについてはどうせ変更かけるなら液晶の品質上げて欲しかった。シャッターチャージが静かになったのはすばらしいです。

(Sep 19, 2012 執筆)