Summilux 21mm f1.4 ASPH レビュー
ズミルックス 21mm reviewブログ
プロローグ
このレンズはSummicron 50mmの次に購入した二本目のライカレンズだ。50mmのしかもSummicronの次にいきなり21mmのSummiluxだなんて、明らかに当時の僕は倒錯していた。しかし、当時はまだM9に手を出す前で、どうしても明るい広角が必要だった。しかも価格は今の2/3ほど。世界初の21mm f1.4をどうしても試してみたくて、デジタルライカを後回しにして清水の舞台から沼めがけてダイブしたのだった。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
さっそく写りを
このレンズは、世界初の21mm f1.4のレンズというよりも、21mmのSummilux ASPHだと捉えたほうが分かりやすい。明るくカラフルでメリハリがあって官能的にBokehる、あの35mmや50mmのSummilux ASPHがそのまま21mmの画角になった写りをする。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
ごらんの通り、Summilux ASPHを使っている方が見れば納得すると思います。
・カラフルで濃厚な発色
・ピントが来ているところが極めてシャープ
・そこからトロリと油に溶けるようななめらかなボケ
言葉にするとこんな感じでしょうか。
This is Super Fast and Super Wide
しかし、やはり35mmや50mmの標準系と比べると超広角のSummiluxには特徴があります。それがこれ。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
これ、この小さなサイズで見ると、全面にピントの合ったパンフォーカスの写真に見えます。ところが真ん中の部分を100% cropで拡大すると、
100% crop
こんな具合に、フォーカス部はくっきり、背景の海は透明でなめらかに溶けているという、まさにSummiluxの描写。超広角で背景を広く取り込み、しかも大きく崩さずなめらかにボカし、ピントが合った主題のみをくっきりと浮かび上がらせる。これを大きくプリントすると、もうそのプリントはまさに現実。写した時そのまんまの景色が目の前に蘇ります。プリントに吸い込まれてもう一度同じ場面に立ち会っているような錯覚。
そう、こいつは完全に大判カメラで撮影した情景なのです。
これが超大口径超広角レンズの世界なのです。しかもそれが、4x5のカメラとは比べ物にならないくらいコンパクトなところが衝撃的なのです。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
ハンドリングしやすい
レンズ自体はスペックを考えると十分に小型で580gの重量はNoctilux0.95と比べると2割ほど軽い。M9と組み合わせても1165gで、普通のデジ一の常用重量とたいして変わらない。しかもM9との重量バランスが最高。変なトルクが手首にかからないので持ち歩いてもあまり疲れない。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
バックにつっこんだり、手からぶら下げたりしながら、世界中連れ回りました。それにしても、21mmの被写界深度は深い。f5.6にすると、1mちょっとから無限遠までパンフォーカス状態。ピント気にせず、時にはノーファインダーでぱちぱち撮れる。M9のファインダーは28mmまでだけど、枠いっぱい使って21mmちょいって感じ。邪魔に成る外付けファインダーは使わない。そう、こいつは絞った瞬間に一流のスナップシューターに早変わりするのだ。
画面の端に余計なモノが写り込んでも気にしない。あとでRAW現像するときにトリミングすればOK。歴代のスナップシューターの先生方と同じ考え方。ネガ(=RAWファイル)は中間生成物であり、最終作品はプリントなのです。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4
Leica M9, Summilux 21mm
Leica M9, Summilux 21mm
Leica M9, Summilux 21mm
Leica M9, Summilux 21mm
まとめ
確かにこのレンズは高価だ。しかも僕が手に入れた時から1.5倍くらいに値上がりしている。しかし、今、大判写真を撮ろうとしたら一体一枚につきいくらかかるのだろうか。大判カメラに機動性は無いが、こいつは片手でもって歩ける。しかも絞ればノーファインダーでも扱えるスナップシューターに早変わり。こんなレンズはSummilux 21mしか存在しない。
このレンズは特殊仕上げのレア物限定品ではない。他の量産ライカMレンズと同じく写真を撮る人のための完全なる実用品だ。それを伝えたくてこのレビューを書きました。
あ、最後に一つ。こんな具合に画面に太陽が入るとフレアーっぽくなります。が、うまく表現できると雰囲気出ます。基本的には優等生で、大きく破綻することはないです。
Leica M9, Summilux 21mm, at f1.4