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Camera&LensReview

Sorry Japanese only so far. Camera and lens review from photographer's viewpoint.

Leica M9 レビュー

カメラレビュー

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ライカM9 reviewブログ  (Sep 9, 2010執筆)

 

プロローグ

フルサイズセンサーを搭載したM9は、銀塩時代の撮影スタイルが身に付いてしまった僕にとって、あまりに魅力的な製品だった。ライカに没入してしてしまう危険性を知っていたので、まずは中古品のM3に逃げた。でもそれは没入の始まりだった。M3のあまりに快適な撮影体験にはまり、その後とあるショップで瞬間的に在庫となったM9に遭遇するやいなや即決購入。次々に各種レンズに手を出しつつ現在に至っている。

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Leica M9, Noctilux f1.0, at f1.0

 

圧倒的に世界最小の35mmフルサイズセンサー搭載デジカメ

M9の外観はM3以来のM型ライカの基本形を受け継いでいる。大きさは139x37x80(mm)と、M3の138x33.5x77(mm)とほぼ同じだが、厚みが10%ほど増えている。これはフランジバックが同じままセンサーと液晶の厚み分が後ろに飛び出したものなので、このレベルで済んでいるいるのは上出来だと思う。M3に慣れてしまった目には最初違和感を感じたが、すぐに慣れてしまった。

重量は電池込みで585g. これは何を表すかというと、M9が世界最小最軽量の35mmフルサイズセンサー搭載のデジカメだということ。このカメラに現行Mマウントレンズでおそらく最小のColor Skopar 35mm PII(134g)を着けると合計重量719gの世界最小35mmフルサイズデジカメだ。ちなみにCanonの最軽量フルサイズ機はEOS 5D MarkIIの890g(電池込み、本体のみ)、Nikonの場合はD700の995g(電池抜き!、本体のみ)とお話にならない。これだけで現代のデジタル版のライカMシステムは存在意義が十分にある。おおまかに言うとMシステムは同じスペックのEOSシステムと比べて4割軽量。ぎりぎり世界最小なのではなく、圧倒的に世界最小ということだ。大きなベンツとF1くらい違っていて、比べること自体が誤り。

作りはすばらしい。主要な部品は金属製で質感が高く、動きも剛性感があって、往年のライカの雰囲気を残している。ところが、背面のデジタル系の操作ボタンは樹脂製中心のいわゆるデジカメっぽい。電子ダイヤルと十字キーも樹脂製で、シャッターダイヤルやフレームセレクターのしっとりとした操作感とはあまりにかけ離れていて、とても同じ機械に付いた操作系とは思えない。このあたりがやや不思議。

バッテリーとSDカードの交換は、M8同様ライカの伝統を守った底蓋分離方式。この方式への固執には賛否あるが、カメラの底蓋としては造りが突出して良いので、僕はオマージュとして残してもいいのではと思ってる。

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Leica M9, Nokton classic 35mm f1.4 MC, at f1.4

 

撮影感

Leica M9の機能についてはすでにあちこちでレビューされているので、細かく触れない。このレビューではどちらかというと写真を撮るのにばんばん実用してみた結果、どう感じたかを極めて主観的に書いてゆこうと思うし、その方が価値があると思う。

さて、まず撮影した感じなんだけど、これはもう、極めてライカ的といいますか、M3と同じく、空中に浮かぶブライトフレームで空間を切り取る感じ。ただ、ファインダー倍率がM3よりも落ちるので、若干ピント合わせしにくく、また両目開けたときに最初少し違和感あり。すぐ慣れたけど。

シャッター音はM8よりは小さいけど、銀塩Leicaよりはるかに大い。特にシャッターのチャージ音が昔の銀塩一眼レフのワインダーっぽいメカニカルな音。指を離すと巻き上げされる分離チャージのモードがあるけれど、ものすごく違和感があったのですぐやめてしまった。

まあ、M3と比べたら多少の違和感はあるが、すぐに慣れる。慣れればM3のごとくさっと情景を切り撮れる。しかもこちらは16GBのSD突っ込んでおけばフィルム20本以上入っているも同然。実に心地よく撮影可能。

28mmの広角を付けf8まで絞る。レンズの被写界深度指標を見ながら、ピントは勘で合わせておく。露出は日向と日陰だけ計って、あとはマニュアルで。おいしい景色があったらさっとカメラを構える。ファインダーはフレーミングだけに使う。場合によってはノーファインダー。あとはインスピレーションでシャッターを切る。どんな構図でも露出は暴れないし、ピント位置がどこにあってもファインダー像はクリアー。撮った直後に1秒間だけ表示されるレビュー画像をチラ見。次の瞬間にはもう別の絵を探して歩みを進める。Leicaを使うと、こういう撮り方が実に快適にできる。まあ、デジタル一眼でもできなくはないんだけど、オートマチック車のマニュアルモードと同じで、本来の使い方じゃないから心地よくない。ざらつくマニュアルフォーカスの感触、電子ダイアルで直感性に乏しい絞り調整、なにより重いから片手でさっというわけにはいかない。

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Leica M9, Elmarit 28mm ASPH

 

カメラの基本的な知識があれば、さらにいくらでも応用できる。超広角付けて、地面にピント無限遠にしたカメラを仰向けに置き2秒セルフタイマー使って星空を撮影するとか、深めに絞ってピント近距離で目測で合わせ腰を落として路上の花を青空バックに仰ぎ見るように写すとか。絞り、シャッタースピード、ピント、フレーミングをすべて直感的に操作でき、しかも小型でハンドリングしやすいことがLeicaの特徴。いちいちメインメニューから下に降りなくても、この手の操作がさっとできる。まさに人馬一体。それが心地よい。

 

解像度

既に解像度テストはいろいろなサイトで実験済みなのでここではあえてテストはしません、が、現行35mmフルサイズセンサーとしては最高峰の一つ。Summilux 21mmをF8まで絞り込んで撮影した樹木を半切にプリントしたけど、もう、窓から景色みているみたいな圧倒的情報量。27インチディスプレイに全画面表示すると、もう吸い込まれそうで怖いくらい。

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Leica M9, Summilux 21mm ASPH

 

やはりローパスレスの威力は凄まじい。

 

6bitコード

M9のCCDは、画面の周辺部のマイクロレンズの曲率が変化する特殊な設計で周辺部の劣化を防いでいる。この劣化防止を最適に行うためにカメラにどのレンズが着いているかレンズ交換ごとに入力する必要がある。最近のライカ純正レンズは6bitコードというマーキングがついていて自動で読み取れるんだけど、古いレンズやNOKTONのような他社製レンズの場合はこのコードが無いため、レンズ交換ごとに手動で入力する必要がある。はっきり言ってこれ、すごく面倒で、よく忘れてしまう。手元のライカ製旧型レンズは改造かな。一本13,650円也。ただ、NOKTON classic 35mm f1.4はそもそも改造不能。

世の中にはいろいろクリエイティブに工夫する方々がいらっしゃって、黒いテプラを使ってフェイクコードを書く手法が確率されている。僕もこれ試したんだけど、何度か着脱しているうちにすぐにテープがずれて認識不能。やはり面倒でもマニュアル入力が確実ですね。体を慣らさないと。

 

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Leica M9, Noctilux f1.0

 

何故Mシステムの沼に誘われるのか

おかげさまで見事にレンズ沼って奴に浸かっているが、浸かれるってことは、Mシステムがすばらしいということだ。僕はカメラがAF化した時点でメインシステムをEOSシステムに切り替えた。キヤノンのEFレンズシステムもLレンズと呼ばれる高級レンズを中心にかなりマニアックだけど、残念ながら深くはまり込むことができなかった。何故か。

 

・ズームレンズにばかり注力し、単焦点レンズのリリースが遅い

単焦点Lレンズは大鑑巨砲主義で明るいが大きくて重い

・非Lの小型単焦点レンズは設計が古くフルサイズの解像度についていけない

・一眼レフの構造上広角レンズが設計しずらく、すごいレンズが少ない

・そもそもAFレンズのためタッチ&フィールに劣る

・小型広角レンズのオートフォーカス機構が古くてうるさい

...etc

 

とまあ、理由を細かく書き出すとどんどん書けるんだけど、まとめると、

 

・小型高性能なレンズがない

・超高性能レンズは化け物みたいにでかくて日常利用不可

・利用頻度の高い広角が弱い

 

の3つ。

逆にMシステムはここがすばらしい。

 

・すべてのレンズが一眼レフ用レンズに比べて小型

・とくに超高性能レンズはレーシングマシンのように小型軽量

・35mm以下に伝説のレンズが数多く存在

 

おまけに、質感も最高だし、明らかに魅力度高い。

僕はEF50mmf1.0Lと兄弟にあたるEF85mmf1.2Lというレンズを持っている。EF50mmf1.0Lと大きさはほぼ同じで重さは数十グラム重い程度だ。このレンズ、本当にほれぼれする写りをするが、じゃあバケーションに連れてゆくかというと、絶対に不可能。重さも容積もありえないくらい巨大だからだ。はっきり言って、EOSの超高性能レンズは僕にとってはスタジオ用機材のようなものだ。だから悲しいことに圧倒的に出番が少ない。

ところがライカの超高性能レンズは十分移動に耐えられる。M9+Noctiluxなら南の島でのバケーションにも十分持って行く気になる。M9+Summilux21mmは旅先のレンタカーのドリンクホルダーに突っ込んでおけた。EFに21mm f1.4Lは存在しないが、出たとしてもこんな芸当は絶対にできない。

旅先に超高性能レンズを連れてゆく。非日常のすばらしい情景をこのレンズで写し込む。旅先から帰り、PCでじっくりと現像&作品作り。画面で見てレンズの性能に驚嘆し、半切くらいに大型プリンタつかって伸ばしてさらに唖然。次はもっと別のレンズで試したいと思いレンズ物色…。

と、こういうサイクルが恐ろしいことにくるくる回ってしまう。そして試すレンズ試すレンズそれぞれ個性的なのでサイクルが加速。

逆にCanonの高性能L単焦点の場合、重すぎて日常のスナップは不可で、ここぞという出番を待つ。きれいな景色の場所に旅行に行くも、家族連れに巨大な一眼レフシステムは不可能で、ライカやコンデジに取って代わられる。かといってモデルさん撮る撮影会とかにはシャイなので行かない。たまにLeicaレンズと性能比較のために、空き缶とかビルの遠景を撮影…というクリエイティブツールとしては悲惨な状態。ほんとうにごめんなさい85mmf1.2L様。

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Leica M9, Noctilux f1.0

 

まとめ

デジタルライカMシステムの魅力の本質は世界最小の35mmフルサイズシステムであるということ。日常でも旅先でも無理せず超高性能レンズを多用でき、たくさんのシーンを写し、その性能に驚嘆。趣味としては最高だね。大型化してしまった一眼レフ用の超高性能レンズはもはやカメラ命という気合いがなければ外に持ち出せない。それは機動性が革命的だった35mm判カメラではなく、もはやスタジオ機材みたいなものではなかろうか。M9は、その事実を明らかにし、僕達に選択を迫ってくる。

 

Leica M3 レビュー

カメラレビュー

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ライカM3 reviewブログ  (0ct 21, 2009執筆)

 

はじめに

昔書いたレビュー記事をはてなに引っ越しさせてます。カメラについては時代背景もあるので昔のまま、レンズについては再編集してお届けします。

 

プロローグ

フルサイズデジタル一眼eos-1ds markIIの導入以降、僕の撮る写真はデジタル一辺倒になっていたが、いつも気になっていたのはライカの銀塩Mシステムだった。伝説とも言えるファインダー、人々が熱く語るモノとしての作りや存在感、いろいろな情報に触れる度、何度もライカ購入を思い立ったのだが、いつもぎりぎりのところで我慢できていた。僕はすでに写真はデジタルメインで行く割り切りができていて、デジタルならフルサイズと決めていたたため、M8には触手が動かなかった。だからライカを導入するならフィルムシステムということになるのだが、すでに手元にコンタックスのGシステムがあり、新たにフィルムシステムを大金を払って追加導入するのは無駄だからだ。ところがつい最近、ライカからフルサイズデジタルカメラM9が発表された。これでタガがが外れてしまった。何度目かのライカ熱が、過去最大級のレベルで襲ってきた。危険を察知した僕は、最小限の出費でこれをかわす策を突如思いついた。それが中古のM3購入である。Mシステム史上最高傑作とされるM3さえ買ってしまえば、M9含め他のボディーにあまり興味は湧かないだろう、フィルムカメラのM3ならそれほど使わない上に50mm未満の広角にファインダーが対応していないのでレンズ沼にはまる可能性もないだろう・・・。

しかしそれは大きな誤りだったことにすぐに気づくのである。

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Leica M3, Nokton 50mm f1.5

 

Gシステムを捨てたくなる

さっそく中古カメラ店でM3を数台見せてもらい、よさそうなものを購入。十数万円也。レンズは中古でいいものがなかったので、中古ライカレンズより安いコシナ製の新品のNocton 50mm f1.5を購入して帰宅。久々に生のフィルムを装填。あちこちのサイト情報からフィルム装填のしづらさを覚悟していたのだが、なんなく完了。完全金属製のスプールや、厚みがあり剛性感の高い底板にいきなり感動。コストダウンが進んだ現代の日本製カメラではありえない贅沢な作り。こりゃ50年現役続けられる訳だと納得。

さっそくファインダーを覗く。その刹那、体に電気が走る。

 

「なんだこれは!」

 

両目を明けるとほんとうにブライトフレームが空中に浮いているのである。購入時にチェックするためファインダーを覗いてはいたが、いざフィルムを入れて「撮るモード」で覗いたとき、その本当の意味が瞬時に体で理解できた。カメラの向きを変えるとそれに合わせてフレームも移動する。まるで指で小さな四角を作ってフレーミングを試すときと同じように、自分をとりまく360度の風景の中で、自由にフレーミングできる。これは明るく高倍率のファインダーを使っているからできるのであって、実像よりも暗くて倍率も低い現代の一眼レフでは難しいことだ。この初めての体験は僕を夢中にさせた。空間を切って切って切りまくり、気がつくとあっというまに手元のロールを使い切っていた。

これは写真の取り方が変わると確信した。

デジタル一眼レフのファインダーは狙撃スコープに似ている。獲物をAFフレームで捉え、レリーズを半押しして、ピントを合わせる。合焦のするやいなや、対象物を四角いファイダー視野の納まりがいいところに移動させ、シャッターを切る。ついついそんな撮り方になってしまう。でもレンジファインダーは、自分を取り巻く360度の風景の中でフレームを自由に遊ばせ、いちばんいい切り取り方を探す。それからピントを合わせるべきポイントを考えながらフォーカスリングを回す。そしてタイミングをじっくり狙い、シャッターを切る。その各プロセスが実に奥深く、それぞれのプロセスでの自由度の高さを感じながら、自分の意思で自分の作品を作ってゆくのである。

あまりにすばらしい体験に、こんなにビューファインダーって気持ちよかったっけ?と思い、手元にあったContax G2のファインダーをのぞき愕然とした。あまりにフレームが狭く、画質も悪い。まるで別物だ。残酷なくらい違う。GシステムがあるからMシステムは不要という考えが根本的に間違っていたことを思い知らされた瞬間だった。

 

フォーカシングと露出

二重像合致によるピント合わせにはすぐになれた。フォーカスリングの動きと像の動きがほぼ線形なので、とても合わせやすい。実際、仕上がりを見ると久しぶりのマニュアルフォーカスにもかかわらずピンぼけはほとんどない。

露出計無しのマニュアル露出となると、多くの人は引くかもしれないが、慣れれば感覚でほぼ分かるし、そもそもネガフィルムを使う場合はラティテュードが広いのでスキャンや現像であとからでも救える。デジカメの自動露出だと明るい物や暗い物が画面に入ると不用意に露出がぶれる上、デジタルのラティテュードが狭いため、大事なショットはAEロック、仮撮影で露出チェック、補正をかけて本撮影みたいな手間がある。マニュアルでのネガ撮影の方が、はるかに露出の意思決定が簡単で、より撮影に集中できる。ネガの仕上がりを見ると露出計を忘れたときの撮影も含めて、全く問題はなかった。(ネガの上に何カ所かなにも写っていない箇所があったが、これは露出のミスではなく、キャップをかぶせたままでショットしたのが原因。やっぱ一眼ばかりつかっているとミスる)

フレーミング、フォーカシング、露出のどれもが使いやすく、特にフレーミングと露出についてはいつものデジ一を超える。使いやすさに酔いしれながら、僕はロールが尽きるまでシャッターを切り続けた。

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Leica M3, Summicron 50mm

 

魅了される作り

M3は単純な機械式マニュアルカメラで、フィルム装填、シャッター速度設定、絞りの設定、ピント合わせ、フィルムの巻き上げと巻き戻しが基本操作で、付加機能にセルフタイマーとフォーカスフレームの手動表示が加わるくらい。極めて基本的な機能しかないが、そのどれもが機械的機構を使った手動操作によるところが現代のデジタル一眼と大きく異なる。そしてその機構がコストを無視した贅沢な作りで、精度、剛性とも高いことから、操作部はスムーズにしっとりと動き、止まるべきところでピタッと止まる。

コイツは気持ちいい!

家電化された現代のカメラの樹脂製スイッチの感触とは完全に別物だ。こういった感触のたぐいはM3を触っているうちにすぐに慣れてくるので、べつに毎回撮影するたびに感動するわけではない。が、しばらくM3を使った後に現代のデジカメのスイッチをさわると、あまりの安っぽさに放り出したくなる。恐ろしいことに、M3を触ったあとでは、現代のM9やMPにさえ軽い幻滅を感じてしまうのである。シャッター音については「コトリと落ちる」とか「ささやくよう」とかいろいろな記述を見かけるが、僕のM3は「チャッ」という感じで、静かだが、こもったような音ではない。

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Leica M3, Summicron 50mm

 

小型軽量

Mシステムの大きなメリットは小型軽量であることだ。これは数字で見ると明らか。eosのフルサイズ機で最も軽量な組み合わせは5D Mark II (電池込みで890g)+EF50mm F1.8II(130g)の1020gとなるが、Mシステムで同様の組み合わせを行うとM3(595g)+Summicron 50mm(240g)で835gと約2割軽い。意外と違わないように思えるが、Canonの50mm F1.8IIはプラスチック銅鏡で徹底したコストダウンを計った結果の重量で、非常にしっかりした作りのSummicronと比べるのは酷かもしれない。大きさもまるで違う。レンズ装着時の大きさを比べると、

 

5D mark II + EF50mm F1.8II
幅152mm x高さ113.5mm x奥行き107mm

 

M3 + Summicron 50mm
幅138mm x高さ77mm x奥行き77mm

 

とMシステムがふたまわりくらいコンパクト。

正確な体積比ではないが、両者がぴったり収まる直方体の箱の体積で比較すると、Mシステムはeosシステムの44%しかない。ビジネスバッグの中でのかさばり具合がまるで違うのである。Mシステムの場合、さらに小型のコシナ製のColor-Skopar 35mm F2.5 PIIと組み合わせると奥行き(厚み)は56.5mmとなる。これはeosシステムの半分程度であり、バッグのちょっとした隙間に収納しやすい。

今度は大口径で比較してみる。

 

5D MarkII(890g) + EF35mm F1.4L(580g) = 1470g

M3(595g) + Summilux 35mm(320g) = 915g

 

と、Mシステムの方が500g以上も軽い。eosシステムはほぼ1.5kgで1.5Lの大きなペットボトル並の重量だ。撮影メインの外出でないとちょっとつらくなってくる。

さらに、両社でディスコンとなった50mm f1.0対決をすると、

 

5D MarkII(890g) + EF50mm F1.0L(985g) = 1875g

M3(595g) + Noctilux F1.0 3rd(630g) = 1225g

 

とMシステムが600g以上軽い。

このように高性能レンズほどMシステムの軽量化メリットは大きい。

EF85mm F1.2Lというeos用レンズによって、僕のレンズ観は一変したのだが、大好きなこのレンズ、ほぼ自宅室内専用レンズとなっている。

5D MarkII(890g) + EF85mm F1.2L(1025g) = 1915g

という数字自体ありえないが、実はこの組み合わせだとバランスが最悪で、信じられないかもしれないが、eos-1ds markIIに着けたときより重く感じてしまう。よって今は、

1Ds markII(電池込み1550g ) + EF85mm F1.2L(1025g) = 2575g

の巨大な塊として自室に転がっている。撮影目的の外出じゃないと持ち出す気にはなれない。でも写りは最高なので、中判カメラ代わりに気が向いたときに使っている。

このレンズと同等以上のドラマティックな写りが期待できるNoctilux f0.95は、カメラとのセットで、

M3(595g) + Noctilux F0.95(700g) = 1295g

で済んでしまう。これだったら外出時にかばんに忍ばせてもいいかもと、ちょっと思える重さだ(ほんとか?)。

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デメリットは何か

Mシステムの利点ばかりあげてきたが、ではデメリットは何か。結論から言うと、特殊な状況での撮影は一眼レフにかなわない。Mシステムは日常生活で普通のシーンを普通にスナップする分には、慣れてくると一眼レフより使いやすい。しかし、昔の一眼レフのキャッチコピーじゃないが、顕微鏡から宇宙までみたいな汎用性は全くない。例えば、以下のような撮影は一眼レフの方が向いている。

・マクロ撮影

・望遠撮影

・完璧なフレーミングが求められるような撮影

・アオリやシフトが必要な建築写真の撮影

動きの激しい被写体もAF一眼向きという人もいるかもしれないが、広角レンズで被写界深度をうまくコントロールすることでMシステムでも意外とイケると僕は思っている。

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Leica M3, Summicron 50mm

 

まとめ

いろいろなところでMシステムに対するインプレッションを読むと、その作りや、アクセサリーの豊富さなどハードウェアに対する賞賛が多い。
もちろん僕もMシステムのハードウェアのすばらしさには驚嘆しているが、実際使ってみると、Mシステムの価値の本質は、デジタル一眼レフとはまるで違う、ブライトフレームによる空間切り取り式の撮影方法にあると思う。まさに撮影体験の革命だ。それによって自分の撮る写真がどのように変わってゆくのかは今後の楽しみだ。

 

Summicron 50mm f2 レビュー

レンズレビュー

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ズミクロン 50mm f2 reviewブログ

 

プロローグ

M9購入欲をかわすため、2009年にM3 + Nokton50mm f1.5を導入したわけだが、あまりのすばらしさに銀塩に再び目覚め、日常M3を持ち歩くようになってしまい、購入数日後には鞄に収まりやすいライカ純正レンズということで現行Summicron 50mmを追加購入してしまった。おそろしや。

 

あふれかえる標準レンズ

常用レンズの焦点距離と年齢は比例するという説があるらしいが、僕の場合は逆で、学生のころは90mmが僕にとっての標準だったのだが、その後50mmに目覚め、長らく50mmばかり使っていた。ここ数年は広角に目覚め、28mmや24mmをよく使っている。

50mmを常用する僕なりの理由は、対象を見つめるような視線で撮影が出来るレンズのうちでもっとも広角なものだからだ。90mmだと対象物にピンを合わせて背景はぼかす描写ができ、背景がうるさくても絵にしやすいので以前愛用していた。でも、背景も含めた絵作りをするようにスタイルが変わってきて、やがて背景をぼかすことも生かすこともできる焦点距離ということで50mmに落ち着いたというわけだ。そして、気がつくと、50mm近辺のレンズが手元に集まってくる。性能の割に安いんでついつい手が伸びる。気がつくと10本オーバー。でもそれぞれに思い入れがあるためなかなか整理できない。とにかく、僕は50mm標準レンズが好きなのだ。

 

外観と感触

さてSummicron 50mmについて。そもそもズミクロンは空気レンズのアイデアを盛り込んだ初代に始まり・・・といった歴史や雑学の話はここでは省略。実際に写真を撮るのに使った上でのリアルな感想をきわめて主観的に書きます。

まずなんといっても小さい。エスプレッソ用のデミタスぐらいのボリューム。Canonのモーター内蔵の大きなレンズに慣れているとまるでミニチュア。だけど質感はおそろしく高く、ぎゅっと詰まっている感じ。フォーカスリングは購入直後にわずかに粘りを感じたが、何回か回しているうちにグリスが回ってウルトラスムースに。と言っても軽すぎず、止めるべきポイントで指の力をすっと緩めるとぴたっと止まる絶妙な感じ。すばらしい。

フードは内蔵タイプでロック機構なし。肩からかけているうちにフードが体にぶつかって引っ込んでしまうことがあり、これを嫌う人は外付けのフードを使う人がいるらしい。僕は携行性重視なので収納時に引っ込んで余計な荷物にならない内蔵フードが好み。引き出した後のロックがあればと思っっていたこともあったが、使っているうちに自動車のクラッシャブルゾーン的な役割があることを理解。この仕様で満足です。

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Leica M3, Summicron 50mm, at f2

 

そして写りは

写りに関してまず言えることが、開放からすでに完成しているということ。世の中のレンズは、開放でふわっとしていて、絞り込んでシャープにというものが多いが、現行Summicron 50mmは巷でも言われている通り、開放からシャープで絞ってもシャープ。絞りによる表情の変化がほとんどないレンズ。これが人によってはつまらないようで、優等生レンズなんて言われているようだ。銀塩時代に僕が最も多用していたのがPlanar 50mm f1.4 MMなんだけど、このレンズ、開放だと描写が甘めで、それ生かして作画するときは別として、ほとんどの場合ちょっとだけ絞ったf2を開放f値として使っていた。そういう撮り方が身に付いてしまっているので、開放から描写ばっちりで、加えて、開放がf2な分、小さく収まっているSummicron 50mmは僕にはとても合理的。

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Leica M3, Summicron 50mm

 

上の写真は初めてSummicronを装着した1本目のロールからだが、この400TMYのネガをGT-X770でスキャンしてLightRoomに読み込んで表示した瞬間、ちょっと感動した。トーンカーブなどなにもいじらない素の状態で完璧に近い絵が出来上がっていたからだ。そもそもスキャン行為を通しての絵なので、すべてがSummicronの力と断言できるわけではないが、世の中で言われているSummicron 50mmのモノクロ表現力の高さ、そしてそれがスキャン行為を通してもすばらしいという話が事実であることを確認した瞬間だった。上の写真は最後の最後の夏の残り香が秋に溶け込んでいった10月の晴れた午後に撮ったものだ。きらきらと輝く光の色が匂い立つ感じが伝わるとよいのですが。

 

もちろん、Summicronはカラー描写もすばらしい。まずはフィルムでの作例から。ポジに写り込んだ油絵のような光線は、僕の腕では正しくスキャンできなかったので、ネガから作った絵を掲載しておきます。

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Leica M3, Summicron 50mm

 

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Leica M3, Summicron 50mm

 

続いてデジタルでの作例。このレンズの光学設計は古いのですが、デジタルでも十分に使えます。なにせあのApo Summicronが発売された後も堂々と併売されてるわけですからね。

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Leica M9, Summicron 50mm

 

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Leica M9, Summicron 50mm

 

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Leica M9, Summicron 50mm

 

開放からリアルな写りのこの優等生レンズの唯一の注意点が逆光特性。意外と大きくフレアがでます。ところがこのフレアがなんともドラマチック!基本性能が素晴らしいだけに、ちょっとしたアラが逆に魅力的。優等生の仮面を脱いだ大胆な官能性が素晴らしいです。

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Leica M9, Summicron 50mm

 

まとめ

とにかくSummicron 50mmは開けても絞っても解像度が高くてリアル。なのにコントラストが高すぎてシャドーやハイライトが飛んでしまうこともない、美しいトーン描写。小さくて切れ味がよくて美しい。もう完璧。

NoctiluxやSummiluxシリーズを堪能した今でさえ、このレンズに戻ってくるととても心地いい。上のクラスのレンズを持っているから下のクラスは整理しようなんて発想は全く出てこないですね。というか、開放f値の違いで上とか下とかないのがLeicaレンズ。そこが面白いく、そして恐ろしいところですね。

最後に細かいことを一つ。僕のレンズ、保護フィルターとして純正のUVフィルター着けているんだけど、このフィルター枠、厚みがあって、着けると全長が3-4mm伸びます。おまけに収納時のフードの先端とフィルターに着けたレンズキャップとの間に隙間が出来て、なにかにひっかかった場合にレンズキャップが外れやすい。Tipsとしてですが、フィルター装着時にレンズキャップするときは、フードを完全にひっこませずにレンズキャップとフード先端をぴったり合わせること。こうするとキャップが外れにくいです。

 

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これだと段ができてしまうので、

 

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こうやってちょいとフードを伸ばします。

 

 

Elmarit 28mm f2.8 ASPH レビュー

レンズレビュー

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エルマリート28mm f2.8 ASPH reviewブログ

 

はじめに

昔書いたレビュー記事をはてなに引っ越しさせてます。カメラについては時代背景もあるので昔のまま、レンズについては再編集してお届けします。

 

プロローグ

ライカ導入直後に50mmレンズを入手し、その後に脈絡なく広角レンズを数本買い漁った後、ふと我に帰る。これは沼だ!落ち着いてシステマチックに必要なレンズを考え抜いた結果、Elmarit 28mm ASPHを購入。2010年のことだ。よってこのレビューは2016年にリニューアルされる前の11606についてのレビューになります。

 

28mmレンズ好き

28mmは自分にとって初めての広角レンズで、ずいぶん長い間、広角は28mm一本で対応していた。50mm好きの僕にとって35mmは中途半端で、かといって24mm以下の強い遠近効果は好きになれず、目の前そのままが切り取れる28mmが好きだった。しかし、一眼レフ用の28mmはレンズ設計の難しさもあり、どれも似たようなもの。個性を求めるものでもなく、好きだったにもかかわらず、だいたいスタンダードなものを一つ持っているだけだった。

ところがMシステムは広角に強い。今では28mmだけで4種類も出ている。当時はライカ純正の28mmはSummicronとElmaritの二種類だけだったが、社外品にはコンタックスGシステムで伝説になったBiogonなどもあり、選択が悩ましくて嬉しかった。結局、まずは王道のライカレンズ、しかもカバンにいつでも収納できる小型レンズが欲しかったためElmarit 28mmに決定。

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Leica M9, Elmarit 28mm f2.8 ASPH (11606)

 

凄まじい写り

撮影した画像はM9のプアーな液晶で見ても明らかに強烈だった。

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Leica M9, Elmarit 28mm f2.8 ASPH (11606)

 

なんというリアルさ!

評判通りシャープで硬い。いわゆる線が太いというのはこういうことだというのがよく分かる写りだ。5Bの鉛筆で力強く描いたようなデッサンと言ったらよいだろうか。人の肌とか撮った場合、なまめかしさよりリアルさが前に出てしまうかも。逆にシャープさを生かして風景とると、ぱっきり映る。ふんわりしたものでなく、凛とした雰囲気のものの方が被写体として向いている気がする。

こういう強烈な個性を持った28mmレンズは、日本製の一眼レフ用レンズでは体験したことがなかった。そもそも種類も少なく、設計も古いままのものが多かった上に、用途も多様なのであまり個性を狙うような設計もできないのだろう。マニアックな人たちに向けた強い個性を持つライカという製品の面白さを、このレンズは僕に教えてくれた。

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Leica M9, Elmarit 28mm f2.8 ASPH (11606)

 

では、さっそく描写を詳しく見てみましょう。

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適当に撮った公園の植物ですが、エッジ立っているのに、みずみずしさも表現できていて、好きな描写。まさにLeica ASPHの描写です。でもって、ピンの来ている部分を100% cropすると、

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こんな具合に、開放からリアルな描写。表面の感じが現実のまま目の前に再現されるような写り方。傾向としてはSummicron 50mmに近い気がする。この2本はどちらもコンパクトだし、いいコンビネーションだと思う。

ちなみにこのレンズ、開放だと周辺が若干甘いです。絞ると改善されますが。MTF見てもその傾向。リニューアルされた11677もMTFで見るとあまり大きな変化は無さそう。海外サイトのサンプル見ても、SLでは大きく改善してますが、M240だとたいして違わず。一旦リニューアルは見送ってます。開放で隅まで解像させたい場合はSummicronですね。ちょっと大きく重くなりますが。(Summicron28の新旧比較はこちら参照 http://www.slack.co.uk/leica-m-resolution.html)。

 

コンパクト

外観はコンパクト。さすがM型Leica現代レンズで最小最軽量。全長は30mmで、フード無しだと常用で鞄に放り込むのに気にならない厚さ。絞りやフォーカスリングも薄いけど他のLeicaレンズと同じ感触でグッド。フードはプラスチック製で、質感の評判はよくないけど、軽量だし、これはこれでよいのでは(リニューアルされた11677では金属フードに変更)。気に入ったのはフード外したとき用のレンズキャップ。これ、軽金属製でLeicaの彫り込みがあり、さらに内側にはフェルトが張ってあって、非常にかっこいい。おもわずSummicron 50mmにも付けてみたんだけど、残念ながら装着不能。 

コンパクトということは機動性が高いということ。M9に薄いSummicronをつければ、当時は完全に世界最小のフルサイズデジカメ。このレンズとともに世界中を回りましたが、どこにゆくにも気軽にカバンに放り込んだり、肩にかけたり、ストラップ巻いて片手持ちしたり、異国の街の放浪には最適なパートナーでした。

F8に絞り込んで、なめらかなフォーカスリングを回してピント指標を3mに合わせればピント合わせ不要(この基本動作すら、今のAFレンズでは難しい)。そのまま街を放浪し、気に入ったシーンがあればレンズ向けてパシャリ。AFでのピント合わせが不要なのでタイムラグゼロ。これはクセになる。しかも明るいレンジファインダーレイテンシーもブラックアウトもゼロ。完全に街に溶け込みながら撮り歩く快感。

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 Leica M9, Elmarit 28mm f2.8 ASPH (11606)

 

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 Leica M9, Elmarit 28mm f2.8 ASPH (11606)

 

まとめ

Elmarit 28mm f2.8 ASPHは、小さい・高性能・広角という、まさにライカらしいレンズ。解像した部分の凄まじい写りは癖になる。開放での周辺部での甘さが欠点といえば欠点だが、そこを解像させたい場合は絞ればOK。コンパクトで似たような切れ味ある写りのSummicron 50mmとの組み合わせでこれからも世界中を回ります。